お知らせ

令和5年2月 園長のつぶやき 「瞬間と永遠」 
5月の連休明けから新型コロナが、インフルエンザと同じ扱いになります。が、昨年12月ついにコロナに感染しました。予防もしていたし、数々の危機も乗り越えてきたので、自分は感染しないと信じていましたが、砂上の楼閣となりました。ワクチンは4回接種していたので、症状は三日ほど微熱が続いただけでした。が、重症予防薬「ラゲブリオ」を飲んだところ、身体中に発疹が出て、今度はその治療薬をせっせと飲んでいました。その上後遺症として就寝中の咳に悩まされるなど、こんな経験初めてだったので、改めて人生を見直しました。5類になると言っても、感染には気を付けなければなりませんね。

先月認知症の新薬が、アメリカで認可されました。ただしこの薬は症状の進行を遅らせる為のもので、認知症を治すものではありません。とは言え、今後の治療薬の開発が期待される一歩となりそうです。現在米社と共同開発をしたエーザイが、日本での認可を申請中とのことです。今や人生100年と言われますが、長寿と認知症は常に背中合わせでした。
我々人間に最も近い動物の一つに、チンパンジーがいます。両者の遺伝情報を見ると、およそ99%が同じです。しかしそのわずかの差が大きな違いを生み出しました。動物園に行けば一方が見る立場、もう一方は見られる立場なのです。ただ人間からすると、チンパンジーはいろいろと考えさせられる存在でもあります。   
チンパンジーの平均寿命は、人間の約半分の40年程度と言われています。人と同じように、老化が進めば様々な障害も出てきます。しかしながら、そんな状況との向き合い方が、我々と全く違っているのです(ただチンパンジーから聞いたわけではないので、あくまでも観察結果ですが)。一言で言えば、人間の様にくよくよ生きていないのです。あるチンパンジーは、目も十分見えていない、歩行もままならぬ、物事の理解も定かでない等、人間なら一人で生きていくのは相当困難な状態です。ところが昨日も今日もそして明日も、何事にも動じることなく、平然と生きているのです。
もしこれが人間ならどうでしょう。おそらく毎日くよくよ悩む、あるいは殻に閉じこもったりするのではないでしょうか(無論そうではない人もいますが)。ただしそれではだめだ、という話ではありません。人間ならそれも仕方ないとも言えるからです。つまりここから分かるのが、チンパンジーと人間では、生き方が違うという事です。もっと別の表現をするなら、チンパンジーは瞬間に生き、人間は永遠を生きているのです。瞬間に生きるとは、その一瞬一瞬を生きているという事です。この一瞬の連続が、昨日を悔やまず、明日を恐れない、チンパンジーの泰然自若とした生き方になるのだと思います。しかし人間は違います。人間は永遠を生きているので、過去を悔やみ未来におののくのです。だから必然的にくよくよした生き方になるのです。良くも悪くも私たち人類は、そのように進化してきました。その結果が両者の違いを生み、人類に繫栄と困苦をもたらしたのです。さて私たちは今後、どんな未来へ向け進化していくのでしょうか。                   早川 友教
2023/01/31
令和5年1月 園長のつぶやき 「子どもは多数から無意識に学んでしまう」 
明けましておめでとうございます。毎年年頭に際し、穏やかな一年であってほしいと願うのですが、今まで叶ったことがありません。せめて気持ちだけでも、安らかに過したいものです。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて日々子どもと関わっていると、思いがけない行動に困惑することがあります。例えば、不適切な言葉遣いをするような時です。多くの場合、周囲の反応見たさが大きな理由ですが、中にはそうではない時があります。それは教えられてもいないのに、社会の価値観などを無意識に学び、それに従って行動する時です。そんな行動は不適切だからと言って、改めようとしても簡単には変えられません。何故なら知らずに身につけた価値観は、無意識なだけに根が深く、直観と感情に左右されるからです。例えば人種差別です。教えられて学ぶ場合は、自分でも教えられているという想いもあり、ある程度自覚的・意識的感覚が持てます。だから後々理屈によって、その価値観を変える事も容易なのです。
スーパーマン、バットマン、スパイダーマン、ワンダーウーマン、キャプテンアメリカ…等、アメリカには日本でも有名な、コミックヒーローやヒロインが数多くいます。実は上記のキャラクターに共通する点があります。何だと思いますか。それは全員が白人だという事です。今でこそ黒人のヒーローもいますが、その多くは今でも白人が主役です。すると子どもたちはこんな所から無意識に、白人が正義の味方であり、黒人などは違うと考えてしまうのです。教えられたわけでもないのに、子ども自身がそうとらえるのです。それは白人の子だけではなく、黒人の子も同じように感じ取ってしまいます。今では黒人をはじめ、多人種のヒーローやヒロインがいます。白人だけが正義の味方とは、言っていないにもかかわらず、子どもにはそう見えるのです。これは育て方に問題ありというような事ではなく、人間の本質として考えるべき問題だと思います。何故子どもは知らず知らずに、そのような物事のとらえ方をしてしまうのでしょうか。

人類は約700万年前に、サルから分かれ人間へと進化し始めました。過去には30種近い人類がいました。が、現在残っているのは、約10万前に現れた我々ホモサピエンスだけです。進化の過程では、飢餓と捕食者からの逃避が、常に最大の関心事でした。すべての人類は、毎日が危機との背中合わせだったのです。そんな中で、何とか生き残るための最善の方法が、多数に従うことでした。一人でいるよりも大勢でいる方が、食料の調達にしても、身を守るにも効果的だったからです。これはおそらく、人類がまだサルだった頃から持っていた本能だったでしょう。我々はその本能に磨きをかけ、生まれながらに多数派を見極め、それに従う行動を身に付けたのです。だから簡単に様々な情報が得られる今でも、我々は多数派に安心感を覚えてしまいます。それが教えられなくても、子どもたちは無意識に学んでしまう理由なのです。                    早川 友教
 
2023/02/01
育徳園保育所の様子
育徳園保育所では子どもたちの作品を至る所に飾っています!
2023/01/31
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