四月です。さぁ新年度が始まりました。我が子を初めての園生活に送る保護者の皆さんは、おそらく子ども以上にドキドキしているかもしれませんね。慣れているお母さん、お父さんにしても、先生が変わりクラスも変われば、気をもむ事もあるでしょう。とは言え、子どもたちは親の考えている以上に、たくましいものです。あまり心配ばかりしないで、子どもの喜ぶ園の出来事（おやつ等）を、日々の話題にしてみて下さい。
子育てをしていれば、親が思わず天を仰ぐ事なんて日常茶飯事です。その度に「もっーいいかげんにしてっ！」と思うことも多いでしょう。しかし今は想像できないかもしれませんが、我が子が手元を離れ、改めて当時を振り返ると、子どもと過ごした時間に懐かしさと共に感謝の気持ちが、フツフツと湧いてくるのだと思います。親は、我が子を育ててあげていると考えがちですが、実は親も子どもに育てられているのです。私たち人間の子育てを考えると、親が子に与えているもの以上に、親が子どもからもらっているように感じます。
とは言え、実際は子育てに疲れている人の話をよく聞きます。そこには様々な理由が考えられます。しかしそんな時は、まず親子関係を見直してはどうでしょう。親、特に母親はどうしても我が子を産んだ実感があるので、子どもを自分のものとして考えがちです。又子どもは、親の保護がなければ生きていけません。ところが言うまでもなく、子どもは独立した一人の人間です。その認識を持っていないと、親子間に問題が生じるのです。
一般的に日本では、親しい仲には距離がないと言われます。その最たるものが、親子関係でしょう。そこを起点とし夫婦、家族、友人・・・他人と距離は広がっていくのです。が、実際は親子間に距離がないどころか距離が必要なのです。大切なのは、それが程良い距離かどうかということです。ただ、程良い距離と言っても、これがそうだなんてものはありません。何故なら距離感は、人や文化等によって違うからです。例えばこちらはそんな親しい人だと思っていなくても、相手は遠慮せずにぐいぐい来るなんて経験はありませんか。そもそも対人関係における距離感のとり方は、経験と生まれ持った資質（経験や学習しなくてもできること）によって、大きく左右されるのです。
距離感を保つ事を、別の言い方をするなら、どこで歯止めをかけるかです。言い過ぎたり、やり過ぎたりしないよう、ここら辺で止めようという事です。「親しき中にも礼儀あり」という諺があります。ここで言う礼儀が、歯止めなのだと思います。そして礼儀は教えられて身に付くものです。だから経験や資質だけではなく、学習することも大切なのです。
いずれにせよ適度な親子の距離感があれば、親は我が子を一人の人間として相対化でき、より良い親子関係を築く手がかりにもなるのです。この1年を通して親子の距離感を、ちょっと意識してみませんか。
それでは令和5年度も、どうぞ宜しくお願いいたします。 早川 友教
2023/04/03
